業務システムの費用は何で決まるのか

業務システム開発の費用は、ほとんどが「誰が、何日かけて作るか」の積み上げで決まります。パッケージ製品のように定価があるわけではありません。

見積書には「画面開発一式」のような書き方が並びますが、その裏には必ず作業の日数があります。どの作業に何日かかるかを足していき、そこに単価を掛けたものが金額になる。考え方はこれだけです。

つまり、金額を動かすのは「作るものの量」と「作り方の手間」です。同じ顧客管理でも、事務の方が1人で使う一覧画面と、営業10人がスマホから入力して社長が集計を見る仕組みとでは、作業の量がまったく違います。名前が同じでも中身が違えば、見積もりも違って当然なんです。

見積もりが出るまでの流れ

開発会社は、最初の打ち合わせで聞いた内容から「必要そうな画面」と「必要そうな作業」を書き出し、それぞれに日数を置いていきます。聞き取りが浅いと、分からない部分を多めに見積もるか、少なめに見積もって後から追加にするか、どちらかになります。

前者は高く見え、後者は安く見えます。ところが、最後に払う金額はそれほど変わらないことも多いんです。最初の見積もりの安さだけで決めにくいのは、このためです。

反対に、発注する側が業務の流れや使う人をきちんと伝えられれば、開発会社は余計な「念のため」を乗せずに済みます。説明の準備は、そのまま費用の精度に効いてきます。

ポイント

見積もりの金額差に驚いたら、まず「各社が同じものを想定しているか」を疑ってください。高い・安いの前に、前提がずれていることがとても多いです。

見積もりの内訳と、それぞれの中身

見積もりは、大きく分けると次の5つの作業でできています。会社によって呼び方は違いますが、中身はほぼ共通です。

項目中身抜けていると
要件の整理・設計業務を聞き取り、画面と流れを決める作ってから「違う」が出る
画面・機能の開発一覧、登録、検索、帳票など見積もりの中心。ここは必ずある
データ移行Excelや紙の台帳を新しい仕組みへ空のシステムから始めることになる
テスト・導入実際の流れで動かし、使い方を説明公開後に不具合と質問が集中する
保守不具合対応、サーバー管理、小さな改修作った後に別料金で驚く

表には入れていませんが、ログインや権限の設定(誰がどこまで見られるか)も、意外と手間のかかる部分です。社長だけが見る画面と、パートの方も触る画面を分けたい、といった要望があるときは特にそうです。

要件の整理・設計を削らない

見積もりを下げたいときに、真っ先に削られがちなのが要件の整理と設計です。画面を作る作業より目に見えにくいので、「ここは省いていいのでは」と思われやすいんです。

ただ、ここを省くと、作り始めてから「その項目は請求書にも要る」「承認は社長が最後にする」といった話が次々に出てきます。作り直しのほうが、最初に整理するよりずっと手間がかかります。

「一式」の中に何が入っているか

見積書に「開発一式」としか書かれていない場合は、遠慮せずに中身を聞いてください。どの画面を作るのか、テストは誰がどこまでやるのか。ここを言葉にしてもらうだけで、他社との比較がぐっと楽になります。

金額が上下する要因

見積もり金額を大きく動かすのは、画面の数、使う人の種類、ほかのサービスとの連携、データの状態、期限の5つです。どれも「作業の量」に直結するので、ここを押さえておくと見積もりの読み方が変わります。

画面の数と、1画面の作り込み

一覧、詳細、登録、編集、検索。この組み合わせが増えるほど費用は上がります。同じ一覧画面でも、並べ替えや絞り込み、Excel出力まで付けるかどうかで手間が変わります。

使う人の種類

社長だけが使うのか、事務の方も、現場の職人さんも、お客様も使うのか。使う人の種類が増えると、それぞれに見せる画面と操作できる範囲を決める必要が出てきます。

よくあるのが、最初は「事務所で使うだけ」と言っていたのに、話を進めるうちに「現場の職人さんにも日報を入れてもらいたい」「お客様に進み具合を見せたい」と広がっていくケースです。広げること自体は悪くありません。

ただ、見積もりの後で広がると、そのぶん金額も変わります。最初の打ち合わせで「将来使うかもしれない人」まで話しておくと、後で慌てずに済みます。

スマホで使うかどうか

現場で写真を撮ってそのまま登録したい、移動中に予定を確認したい。こうした使い方があるなら、最初からスマホ前提で画面を作ります。パソコン用の画面を後からスマホ対応にするより、最初に決めておいたほうが無駄が出ません。

ほかのサービスとの連携

公式LINE、会計ソフト、決済、カレンダーなどとつなぐ場合、その分の作業が加わります。つなぐ先の仕様によって手間が大きく変わるので、連携したいサービス名は早めに伝えてください。

帳票や印刷物の再現

今使っている見積書や請求書、作業指示書の書式をそのまま出したい、という要望はよくあります。罫線の位置や印鑑欄まで合わせるとなると、帳票1枚でもそれなりの作業です。書式にこだわる部分と、多少変わっても構わない部分を分けておくと見積もりが締まります。

データの状態と期限

Excelの表がそろっていれば移行は軽く済みます。紙の台帳しかない、ファイルが担当者ごとにばらばら、という場合はその整理から。期限が短いと、体制を厚くする必要があるので、そのぶん費用に跳ね返ります。

注意

「とりあえず全部入りで」と頼むと、使われない画面まで作ることになりがちです。毎日使う機能と、あったら便利な機能は分けて伝えたほうが、見積もりは現実的になります。

見積もりの比べ方

見積もりは、合計金額より先に「含まれている範囲」をそろえて比べます。範囲がそろって初めて、金額の比較に意味が出てきます。

たとえば、A社はデータ移行と操作説明を含み、B社は含まない。この状態で「B社のほうが安い」と判断すると、後から追加費用がかかったり、移行作業を社内でやる羽目になったりします。事務の方が夜まで残ってExcelから手で打ち直す、というのはよく聞く話です。

比べるときに確認したい項目をチェックリストにしました。

  • 作る画面や機能が一覧で書かれている
  • データ移行が含まれているか、含まれないなら誰がやるか
  • テストの範囲と、操作説明の有無
  • 公開後の不具合対応がいつまで無料か
  • 保守費用が月額でいくらか、何が含まれるか
  • 途中で仕様を変えたときの扱い
  • 支払いのタイミング(着手時、途中、完成時)

安すぎる見積もりで確かめたいこと

1社だけ極端に安い場合、その会社が悪いとは限りません。既製の部品をうまく使って安くできている場合もあります。

確かめたいのは、何が含まれていないかです。テストは発注側がやる前提になっていないか、保守は別契約で高くなっていないか、仕様が少し変わるたびに追加費用になる条件ではないか。ここを聞いて答えがはっきりしていれば、安さを素直に評価していいと思います。

質問への答え方も比べる

見積もりの中身を質問したときに、分かる言葉で説明してくれるかどうかも見ておきたいところです。専門用語ばかりで返ってくる会社とは、開発が始まってからのやり取りでも苦労します。

開発会社そのものの比べ方は、開発会社の選び方と見積もりの比べ方で詳しく書いています。

費用を抑える進め方

費用を抑えるのにいちばん効くのは、最初に作る範囲を絞ることです。全部の業務を一度にシステムにせず、いちばん困っている業務から順に作ります。

単価を値切っても、作る量が同じなら大きくは下がりません。効くのは、作らなくていいものを作らないことです。

  1. 困っている業務を1つ選ぶ毎月いちばん時間を取られている作業や、ミスが起きやすい作業から選びます。
  2. 予算の上限を先に伝える「この金額ならここまで」という案を出してもらえるので、何を後回しにするか自分で選べます。
  3. 小さく作って使ってみるまずは最低限の画面で動かし、現場の方に実際に使ってもらいます。
  4. 使われたら広げる使ってみて足りないものが分かってから追加すると、無駄な機能を作らずに済みます。

予算の上限を言うと「その額まで使われるのでは」と心配する方もいます。気持ちは分かります。ただ、上限が分からないと開発会社は全部入りの見積もりを出すしかなく、比べにくい見積もりが届くだけです。

既製のサービスで足りる部分は、無理に作らないのも手です。たとえば勤怠や会計は専用のサービスを使い、自社独自の流れがある案件管理だけを作る。こうした組み合わせで、作る量そのものを減らせます。

依頼の前に社内で決めておくと話が早いことは、システム開発を依頼する前に決めておくことにまとめました。

作った後にかかる費用も見積もりに入れる

業務システムは、作って終わりではありません。サーバー代やドメイン代、外部サービスの利用料、不具合対応や小さな改修といった費用が、公開後もずっとかかります。

初期費用だけで比べて安い会社に決めたら、月々の保守費用が想定より高かった。逆に、保守を付けずに始めたら、不具合が出たときに誰も直せなかった。どちらも避けたいところです。

  • サーバーやデータベースの利用料
  • ドメインの更新費用
  • メール送信や公式LINEなど外部サービスの利用料
  • 不具合対応と、OSやブラウザの更新に合わせた修正
  • 項目の追加など、小さな改修

見積もりの段階で「公開後に月々いくらかかるか」まで聞いておくと、数年使ったときの総額で比べられます。保守の中身はシステムの保守・運用費用とはで詳しく書いています。

費用の目安と進め方

LaughRallyでは、作る範囲に応じて次のような料金を目安にしています。中小企業や個人事業の方に向けた開発で、要件の整理から開発、保守まで窓口はひとつです。

内容料金の目安期間
1業務の自動化3万〜5万円1〜2週間
業務システム・SaaS開発50万円〜1〜3か月
月額の伴走支援月5万〜15万円継続
Web制作・LINE連携3万円〜内容による

LaughRallyの事例

事務員のいない外構工事会社で、現場台帳と見積・発注・請求をひとつにまとめ、公式LINEとつなぎました。初期費用は78万円です。占い鑑定(四柱推命)のWebサービスでは、開発が78.1万円、公開後の保守が月1.1万円でした。

表の「50万円〜」は、画面の数が少なく、使う人も限られる業務システムを想定した出発点です。使う人の種類や連携が増えれば、上の事例のようにそこから積み上がっていきます。

大きな開発では提携の開発パートナーと体制を組みます。その場合も窓口はLaughRallyなので、発注する側が複数の会社とやり取りする必要はありません。

進め方は、途中で動く画面を見せながら作っていく形です。途中で「やっぱりここはこうしたい」が出ても、早い段階で気づけるので手戻りが小さく済みます。まず1業務を小さく試し、現場で使われることを確かめてから範囲を広げるので、最初の支払いを抑えたい会社にも合わせやすいと思います。

自社の場合いくらくらいになりそうか、まずざっくり知りたい方は見積もりシミュレーターを試してみてください。どの業務から手を付けるべきか迷っているなら、60分のオンラインでできる無料の業務診断で、自動化できそうな業務を一覧にしてお渡しします。

売り込みはしません。相見積もりを取る前の頭の整理に使っていただいても構いません。