依頼前の準備で何が変わるのか

システム開発の依頼前に準備しておくと、打ち合わせの回数が減り、見積もりの精度が上がります。逆に準備がないと、開発会社は分からない部分を「念のため」多めに見積もるしかありません。

準備といっても、仕様書のような立派な資料は要りません。開発会社が知りたいのは、技術の話より「今、誰が、何に困っているか」です。そこさえ伝われば、画面や機能の形にするのは開発会社の仕事です。

決めておきたいのは、困っている作業、使う人と端末、今のデータ、期限、予算の上限の5つ。全部そろっている会社はまずありません。半分くらい分かっていれば、十分に相談を始められます。

準備に時間をかけすぎるのも考えものです。社内で何か月も要件を議論しているうちに、担当者が替わったり、困りごとの中身が変わったりすることもあります。1〜2週間で集められる範囲を集めたら、一度相談してみるくらいがちょうどいいと思います。

ポイント

要件の伝え方で迷ったら、「こういうシステムが欲しい」より「この作業がこう大変」を話してください。作るものの形は、打ち合わせの中で一緒に決めていけます。

困っている作業を書き出す

最初に準備したいのは、困っている作業の書き出しです。どの作業に、誰が、どのくらいの時間をかけていて、どこでミスや手間が起きているかを、普段の言葉で書きます。

たとえば「請求が大変」だけだと、開発会社は何を作ればいいか分かりません。「月末に事務の1人が、現場ごとのExcelから金額を拾って請求書を作っている。丸2日かかり、毎月どこかで転記ミスが出る」まで書くと、一気に話が具体的になります。

  1. 作業の名前を並べる見積作成、受注の記録、請求、シフト作成など、思いつく作業を箇条書きにします。
  2. 担当者と頻度を書く誰がやっているか、毎日なのか月末だけなのかを書き添えます。
  3. 手間とミスを書くどこで時間がかかるか、どんなミスが起きたかを、実際にあった例で書きます。
  4. いちばん困っているものに印を付ける最初に作る範囲を決めるときの目安になります。

書き出すときは、担当者本人に聞くのがいちばん確実です。社長が思っている「大変な作業」と、現場の方が本当に困っている作業は、意外とずれています。

たとえば社長は「見積書を作るのが大変」と思っていても、事務の方に聞くと、本当に時間を取られているのは見積書の内容を発注書と請求書に打ち直す作業だった、ということがあります。こういうずれは、書き出してみて初めて見えてきます。

今の流れを1枚に書いてみる

余裕があれば、作業の流れを順番に並べた1枚のメモがあると助かります。「電話で問い合わせ → 現地を見る → Excelで見積書 → 受注したら発注書 → 工事 → 請求書 → 入金を通帳で確認」のように、矢印でつなぐだけで構いません。

流れが見えると、どこで同じ情報を何度も打ち直しているか、どこで情報が止まっているかが分かります。システムで解決すべき場所は、たいていその「打ち直し」と「止まる場所」にあります。

変えたくないことも書いておく

困っていることと同じくらい役に立つのが、変えたくないことです。「見積書の書式はお客様に慣れてもらっているので変えたくない」「現場の方は紙の日報に慣れているので、急にスマホにするのは難しい」。こうした事情は、聞かれないと出てこないことが多いので、先にメモしておくと安心です。

使う人と使う端末を決める

次に決めたいのは、そのシステムを誰が、どこで、何の端末で使うかです。使う人と端末によって、作る画面の数も、画面の作り方も変わります。

使う人使う場面主な端末
社長・管理者売上や案件の状況を見るパソコン、スマホ
事務の方入力、請求、書類の作成パソコン
現場の方日報、写真、予定の確認スマホ
お客様申し込み、問い合わせ、予約スマホ、公式LINE

表の全員が最初から使う必要はありません。事務の方だけで始める形でも十分です。

ただ、「将来は現場の方も使うかもしれない」といった見込みは伝えておいてください。後から使う人が増えると、権限の考え方を作り直すことになりかねません。

人数と増え方も伝える

使う人の種類と合わせて、おおよその人数も伝えてください。今は3人でも、来年は支店ができて10人になるかもしれない。そうした見込みがあると、開発会社は最初から人が増えても困らない作りを考えられます。

現場の方がスマホで使う場合は、手袋をしたまま押せるか、電波の悪い場所で使うことがあるか、といった細かい事情も役に立ちます。打ち合わせで話すと、開発会社のほうから質問してくれることも多いです。

今のデータと書類を集める

今使っているExcel、紙の台帳、見積書や請求書の見本は、できるだけ集めておきます。今のデータを見れば、開発会社は管理している項目と量をすぐにつかめます。

完璧に整理されている必要はありません。担当者ごとにファイルが分かれている、紙とExcelが混ざっている、という状態でもそのまま見せてください。散らばっている状態そのものが、システムで解決したい課題だったりします。

お客様の個人情報が入っている場合は、名前や電話番号を伏せたものや、項目名だけの空の表でも大丈夫です。見せられる範囲で見せる、で問題ありません。

書類の見本は、項目の一覧として役に立ちます。見積書1枚を見れば、品名、数量、単価、値引き、備考欄の使い方まで分かり、口で説明するより早く正確に伝わります。

手書きのメモが書き込まれた紙も、どこを手で補っているかが分かるので、そのまま見せてもらえると助かります。

注意

データを新しいシステムに移すかどうかは、早めに伝えてください。移す前提かどうかで作業量が変わり、見積もりにも影響します。過去の分は移さず、今月分から新しい仕組みで始める選択肢もあります。

期限と予算の上限を決める

期限と予算の上限は、ざっくりでいいので社内で決めておきます。この2つが分かると、開発会社は「その条件で作れる範囲」を提案できます。

期限は理由と一緒に伝える

「来年4月から使いたい」だけでなく、「新年度に人が増えるので、それまでにシフト作成を楽にしたい」のように理由を添えると、何を優先すべきかが共有できます。理由が分かれば、期限までに最低限の部分だけ先に動かす、という分け方も提案しやすくなります。

繁忙期に本番を迎えない

期限を決めるときは、会社の繁忙期も考えておきたいところです。切り替えてから最初の数週間は、慣れない操作でどうしても時間がかかります。

年度末や書き入れ時に切り替えが重なると、現場はかなりきつくなります。少し前倒しで試し始めるか、繁忙期が過ぎてから本番にするか、余裕を持たせておくと安心です。

予算の上限は言ったほうが得

予算を言うと、その金額まで見積もられるのではと心配する方は少なくありません。気持ちは分かります。でも上限が分からないと、開発会社は全部入りの見積もりを出すしかなく、比べにくくなるだけです。

「上限はこのくらい。超えるなら何を後回しにすればいいか教えてほしい」と伝えるのがおすすめです。金額がまだ社内で決まっていないなら、「この作業が楽になるなら、毎月これくらいの人件費が浮く」という考え方から逆算してみるのも一つの方法です。

上限に幅があっても構いません。費用の決まり方は業務システム開発の費用はどう決まるかで詳しく書いています。

決まっていなくても相談できること

画面の形、使う技術、機能の細かい仕様は、決まっていなくてまったく問題ありません。むしろ、そこは開発会社と一緒に決める部分です。

逆に、社内でしか決められないこともあります。誰が使うか、いくらまで出せるか、いつまでに必要か。ここは開発会社が代わりに決めるわけにいきません。

決まっていなくていい社内で決めておきたい
画面のデザインや配置困っている作業と優先順位
使う技術やサーバー使う人と端末
機能の細かい仕様予算の上限と期限
自動化できるかどうか社内の窓口になる人

「そもそもシステムを作るべきか、既製のサービスで足りるのか」が分からない段階でも、相談して構いません。作らないほうがいいケースもあるので、そこを一緒に判断するのも打ち合わせの役目です。

「AIで何かできないか」という漠然とした相談も同じです。どの作業にAIが向いていて、どの作業は普通の仕組みで足りるのか。困っている作業の書き出しがあれば、そこから一緒に仕分けていけます。

社内の窓口になる人は、1人に決めておくと進みが速くなります。確認のたびに社長と現場の方の両方に聞いて、答えが食い違う。これは開発が遅れる原因として本当によくあります。

打ち合わせに持っていくもの

最初の打ち合わせには、次のものがそろっていれば十分です。全部なくても大丈夫なので、そろうものから用意してください。

  • 困っている作業の書き出し(担当者、頻度、手間)
  • 今使っているExcelや台帳(伏せ字や空の表でも可)
  • 見積書、請求書、日報などの書類の見本
  • 使う人の一覧と、使う端末
  • 使いたい時期と、その理由
  • 予算の上限のおおよその額
  • 今使っている外部サービス(会計ソフト、公式LINEなど)
  • 社内で窓口になる人の名前

話すときは、専門用語を使おうとしなくて大丈夫です。「データベース」や「API」といった言葉を知らなくても、普段の業務の言葉で話してもらえれば、開発会社のほうで置き換えます。むしろ、社内で使っている呼び名(「台帳」「工番」「現調」など)をそのまま使ってもらったほうが、画面の名前を決めるときに役立ちます。

打ち合わせの途中で答えに詰まっても、その場で無理に決めなくて大丈夫です。「確認して次回お伝えします」で十分です。

打ち合わせの後は、聞かれて答えられなかったことをメモしておきます。次回までに社内で確認すれば、2回目の打ち合わせがぐっと具体的になります。開発会社を比べるときに聞いておきたいことは、開発会社の選び方と見積もりの比べ方にまとめました。

費用の目安と進め方

LaughRallyの料金の目安は、1業務の自動化が3万〜5万円(1〜2週間)、業務システム・SaaS開発が50万円〜(1〜3か月)、月額の伴走支援が月5万〜15万円です。要件の整理から開発、保守まで、窓口はひとつで対応しています。

進め方は、途中で動く画面を見せながら作る形です。最初から全部を作り込まず、まず1つの業務から小さく始めて、使われたら広げることもできます。準備の段階で決めきれなかったことも、動く画面を見ながら決めていけます。

大きな開発では提携の開発パートナーと体制を組むことがありますが、打ち合わせや確認の窓口はLaughRallyが担当します。社内の窓口の方が、複数の会社と別々にやり取りする必要はありません。

LaughRallyの事例

特殊効果演出会社の動画検索・提案サイトは、1〜1.5か月で開発しました。週次で進み具合を報告し、2週間ごとに実際の画面で動作を確認しながら進めています。その後、シフト管理など計4件の開発を続けてご依頼いただきました。

何から準備すればいいか分からない段階なら、60分のオンラインでできる無料の業務診断を使ってみてください。困っている作業を伺い、自動化できる業務を一覧にしてお渡しします。

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