システムの保守・運用費用とは

システムの保守・運用費用とは、作ったシステムを毎日問題なく使い続けるためにかかるお金のことです。大きく分けると、動かすための利用料と、人が手を動かして面倒を見る費用の2種類があります。

家にたとえると分かりやすいかもしれません。建てた後も電気代や水道代はかかりますし、雨漏りがすれば修理が要ります。システムも同じで、サーバー代やドメイン代が「光熱費」、不具合対応や改修が「修繕」にあたります。

開発の見積もりに比べると金額は小さいことが多いものの、毎月、毎年かかり続けます。数年使うつもりなら、初期費用と合わせて考えておかないと、後から「こんなにかかるとは」となりかねません。

保守と運用の違い

「保守」と「運用」はよく一緒に使われますが、少し意味が違います。保守は、システムそのものを直したり手入れしたりすること。運用は、毎日の利用を回すこと、たとえばデータのバックアップを確かめたり、新しく入った人のアカウントを作ったりすることです。

中小企業向けの小さなシステムでは、この2つをまとめて「保守」として契約することが多いです。言葉の違いにこだわる必要はありません。気にしたいのは、どの作業を開発会社がやって、どの作業を社内でやるのか、という線引きのほうです。

ポイント

見積もりを比べるときは、初期費用だけでなく「公開後に月々いくらかかるか」まで並べてください。初期費用が安くても、月々の費用が高ければ数年で逆転することがあります。

作った後にかかるものの一覧

作った後にかかる費用は、サーバー、ドメイン、外部サービスの利用料、不具合対応、改修、問い合わせ対応の6つに分けると整理しやすくなります。前の3つは使っている限り必ずかかり、後ろの3つは保守契約の中身次第で変わります。

項目中身止めると
サーバーシステムとデータを置く場所の利用料システムが開かなくなる
ドメインURLの住所。毎年の更新が必要URLにつながらなくなる
外部サービス利用料メール送信、公式LINE、決済、AIなどその機能だけ止まる
不具合対応動かない、表示が崩れたときの修正直せる人がいなくなる
改修項目の追加や画面の変更使い方の変化に合わなくなる
問い合わせ対応使い方の質問や設定の相談社内で抱え込むことになる

それぞれの費用の中身

6つの費用は、払う相手もタイミングも少しずつ違います。どれが開発会社への支払いで、どれがサービス会社への直接の支払いなのかを分けておくと、請求書を見たときに戸惑いません。

サーバーとドメイン

サーバーはシステムとデータを置いておく場所で、使っている間はずっと利用料がかかります。使う人やデータが増えれば、それに合わせて費用が上がることもあります。

サーバーの中のソフトウェアには、定期的に安全のための更新が出ます。これを放っておくと、外から攻撃を受けやすくなります。こうした更新の対応を誰がするのかも、保守の中身として確かめておきたいところです。

ドメインは「〇〇.com」のようなURLの住所です。年に一度の更新を忘れると、ある日突然URLにつながらなくなります。更新のお知らせメールが、もう退職した担当者のアドレスに届いていた、というのは本当によくある話です。

外部サービスの利用料

お知らせメールの送信、公式LINEとの連携、カード決済、AIを使った機能などは、それぞれ外部のサービスを使っていることが多いです。使った量に応じて料金が変わるものもあるので、どのサービスに、どんな形で払っているのかを一覧にしておくと安心です。

外部サービスは、提供している会社の都合で料金や仕様が変わることがあります。仕様が変わると、つないでいる部分を直さないと動かなくなる場合もあるんです。そうした変更のお知らせを誰が受け取り、誰が対応するのかを決めておくと、急に止まって慌てずに済みます。

不具合対応

どれだけ丁寧に作っても、使い始めてから見つかる不具合はあります。スマホやブラウザの更新で、昨日まで正しく出ていた画面が崩れることもあります。これを直すのが不具合対応です。

不具合対応で時間がかかるのは、直す作業より原因を探す作業のほうです。いつ、誰が、どの画面で、何をしたらどうなったか。連絡するときにこの情報と画面の写真があると、原因が早く見つかります。

「なんか動かないです」だけの連絡と、「今朝9時ごろ、事務所の受付のパソコンで請求書の保存ボタンを押したら真っ白になった」という連絡。後者なら、聞き返す手間なく調べ始められます。

改修

改修は、使い方の変化に合わせてシステムを手直しすることです。新しい商品の区分を追加したい、請求書の書式を変えたい、担当者が増えたので権限を分けたい。業務が変われば、システムも少しずつ変える必要が出てきます。

改修は、項目を1つ足すような小さなものから、新しい画面を作るような大きなものまで幅があります。小さな改修は月額の保守に含め、大きなものは別に見積もる、という分け方が一般的です。

問い合わせ対応

「この画面の出し方が分からない」「間違えて消したデータを戻したい」といった相談に答えるのが問い合わせ対応です。社内にシステムに詳しい人がいない会社ほど、ここの価値が大きくなります。

新しく入ったパートの方に使い方を教えたいけれど、最初に説明を受けた人はもう辞めている。そんなときに「操作の手順をもう一度まとめてほしい」と頼める相手がいると、社内の負担はかなり軽くなります。問い合わせの受付方法(電話、メール、チャットなど)と、受け付けている時間帯も確かめておきましょう。

保守契約に入れておく項目

保守契約には、何をしてもらえるのか、どのくらいで対応してもらえるのか、どこからが別料金なのかを必ず書いておきます。ここがあいまいなまま契約すると、困ったときに「それは保守の範囲外です」と言われかねません。

  • 月額費用と、そこに含まれる作業
  • サーバー・ドメイン・外部サービス代の扱い(込みか別払いか)
  • 不具合の連絡先と、返事が来るまでの目安
  • 小さな改修はどこまで月額に含まれるか
  • 別見積もりになる改修の例
  • データのバックアップの頻度と、戻せる範囲
  • ソースコードとデータが誰のものか
  • 保守をやめるときの引き継ぎ方法

とくに揉めやすいのが「不具合の修正」と「改修」の境目です。発注する側は直してほしいだけでも、開発会社からは機能の追加に見える、ということが起こります。具体的な例をいくつか挙げて、どちらに入るかを契約前にすり合わせておくのがおすすめです。

バックアップも見落とされやすい項目です。毎日自動でとっているのか、何日前の状態まで戻せるのか。間違えて大事なデータを消してしまったとき、ここが決まっているかどうかで結果が大きく変わります。

開発会社を選ぶ段階で聞いておきたい質問は、開発会社の選び方と見積もりの比べ方にまとめています。

保守を付けない場合のリスク

保守を付けないと、月々の費用は抑えられますが、困ったときに頼れる相手がいなくなります。小さな不具合でも、そのたびに新しく見積もりを取り、作った人を探すところから始めることになります。

よくあるのは、こんな場面です。月末の締め日、事務の方が請求書を出そうとしたらエラーで画面が止まった。

開発した会社に連絡したら、保守契約がないので対応は来週以降、費用も別途と言われた。その間、請求書は手作業で作るしかありません。

もう一つは、ドメインやサーバーの更新漏れです。誰も管理していないまま更新期限が過ぎ、ある朝お客様から「予約ページが開かない」と電話が来て初めて気づく。保守を頼んでいれば、こうした期限の管理も任せられます。

注意

保守を付けない場合でも、サーバーやドメインの管理画面に入るための情報と、ソースコードの置き場所は、必ず社内で控えておいてください。これがないと、別の会社に直してもらうことすら難しくなります。

引き継ぎが難しくなる

保守を付けずに何年か使っていると、作った会社とも疎遠になって、システムの中身を知る人がいなくなる。いざ直そうとしたとき、別の会社に頼んでも、中身を調べるところから始めるので時間も費用もかかります。場合によっては「直すより作り直したほうが早い」と言われてしまうことも。

社内でシステムを触れる人がいて、多少止まっても業務に大きな影響がない仕組みなら、保守なしで様子を見る選択もあります。止まると売上や請求に響く仕組みなら、保守は付けておいたほうが安心です。

小さなWebサービスの保守の例

保守費用は、システムの規模と、頼む内容によって決まります。小さなWebサービスなら、保守の金額も小さく抑えられます。

LaughRallyの事例

占い鑑定(四柱推命)のWebサービスを開発しました。開発費は78.1万円で、公開後の保守は月1.1万円です。開発した側がそのまま保守も受け持つ形にしています。

保守の金額を決めるときは、最初から手厚くしすぎないこともポイントです。公開してしばらくは問い合わせや細かな修正が多く、落ち着いてくると減っていきます。まずは必要な範囲で始めて、使い方に合わせて見直していけば十分です。

反対に、利用者が多く、止まるとお客様に迷惑がかかるサービスなら、夜間や休日の対応、障害が起きたときの連絡体制まで決めておく必要があります。社内だけで使う日報の仕組みと、お客様が夜中に申し込むWebサービスとでは、同じ「保守」でも必要な中身がまるで違うんです。

保守を無駄にしない使い方

  1. 社内の窓口を1人決める不具合や要望は窓口の方にまとめてから連絡すると、伝え漏れや重複がなくなります。
  2. 困ったことはためずに伝える小さな違和感でも早めに伝えると、大きな不具合になる前に直せます。
  3. 要望は一覧にしておく「あったら便利」な改修を一覧にしておき、優先順位を付けて少しずつ進めます。
  4. 年に一度は中身を見直す使っていない外部サービスや、使い方に合わなくなった契約がないかを確かめます。

改修の希望が毎月のように出てくる場合は、その都度見積もりを取るより、月額で相談できる形にまとめたほうが話が早いこともあります。

費用の目安と進め方

LaughRallyでは、要件の整理から開発、公開後の保守まで、窓口をひとつにしています。作った会社がそのまま面倒を見るので、不具合が出たときも経緯の説明から始める必要がありません。

大きな開発では提携の開発パートナーと体制を組むこともありますが、公開後の連絡先もLaughRallyに一本化しています。不具合の連絡も、改修の相談も、使い方の質問も、同じ窓口で受け付けます。社内の方が「これはどこに聞けばいいのか」と迷わずに済むようにしておきたいからです。

開発の料金の目安は、1業務の自動化が3万〜5万円(1〜2週間)、業務システム・SaaS開発が50万円〜(1〜3か月)です。保守の金額はシステムの規模に合わせて見積もり、上の事例の小さなWebサービスでは月1.1万円でした。

改修や新しい自動化を継続して進めたい場合は、月5万〜15万円の伴走支援という形もあります。

開発の初期費用がどう決まるかは業務システム開発の費用はどう決まるかで詳しく書いています。作った後のことまで含めて相談したい方は、60分のオンラインでできる無料の業務診断をどうぞ。自動化できる業務を一覧にしてお渡しします。

売り込みはしません。おおよその開発費用は見積もりシミュレーターでも確かめられます。