毎月の請求作業はどんな流れになっているか
請求作業は「金額を集める」「請求書を作って送る」「入金を確かめる」の3つに分けられます。自動化しやすいのは前の2つで、手間が残りやすいのは最後の入金確認です。
よくあるのは、月末が近づくと経理を兼ねる方が、案件の一覧や納品書の控えを集めて請求先ごとに金額を足し上げる場面です。会計ソフトか請求書のExcelに打ち込み、PDFにしてメールで送るか、印刷して郵送する。翌月は通帳やネットバンキングの明細を見ながら、どの請求が入金済みかを1件ずつ照らし合わせます。
| 作業 | よくある手間 | 自動化のしやすさ |
|---|---|---|
| 金額を集める | 納品書や作業記録から請求先ごとに集計 | 元データがそろっていれば高い |
| 請求書を作る | 宛名、明細、税、振込先を毎回入力 | 高い |
| 送る | PDF化、メール作成、郵送の準備 | 高い |
| 入金を確かめる | 明細と請求を1件ずつ照合 | 部分的に可能 |
| 催促する | 未入金先への連絡 | 通知までは可能 |
請求書の発行そのものは、自動化しやすい作業です。ところが、その前の「金額を集める」がばらばらだと、発行だけ自動にしても月末の忙しさはあまり変わりません。
もう1つの場面を挙げると、現場の職人さんが紙の作業報告を事務所に持ち帰り、月末にまとめて手渡すケースです。報告が遅れると請求も遅れ、入金も1か月ずれる。請求書の自動化を考えるときは、請求書そのものより、その元になる情報がいつ、どこから集まってくるかを見ておく必要があります。
締め日と請求のタイミングを先にそろえる
請求書の発行を自動化する前に、取引先ごとの締め日と請求のタイミングを一覧にしておくべきです。ここが整理されていないと、仕組みに例外がどんどん増えます。
月末締めの取引先もあれば、20日締めの取引先もある。毎月まとめて請求する先も、納品のたびに請求する先もある。こうした違いは、担当者の頭の中か、机の引き出しのメモ帳にしか書かれていないことがほとんどです。
一覧にしておきたい項目
- 取引先ごとの締め日と支払い期日
- まとめて請求か、納品・作業ごとの請求か
- 請求書の送り方(メール、郵送、取引先の受付システムなど)
- 取引先指定の請求書の書式があるかどうか
- 担当者の宛名と、請求書を送る先のアドレス
この一覧ができると、締め日が来た取引先だけを自動で抜き出して請求書の下書きを作る、という動きが組めるようになります。逆に言えば、一覧がないまま自動化を頼むと、作る側も取引先ごとの事情を1つずつ聞き取ることになり、時間も費用もかさみます。
締め日の整理と一緒に、請求書の番号の付け方もそろえておきます。請求番号が決まっていれば、入金のときに取引先が番号を書いてくれることもあり、照合が楽になります。月ごとの連番など、単純な形で十分です。
ポイント
取引先指定の書式がある先は、無理に自動化の対象に入れなくてもかまいません。件数の多い「いつもの書式」で済む取引先から始めて、指定書式の先は手で作る。その割り切りで十分楽になります。
定期請求は最初に自動化しやすい
毎月同じ金額を請求する定期請求は、請求書の発行を自動化するときにいちばん手を付けやすい部分です。金額と請求先が決まっているので、人が判断する場面がほとんどありません。
保守契約、月額の利用料、顧問料、定期的な清掃や点検など、毎月同じ内容の請求は思った以上にあるものです。こうした請求は、契約の一覧から締め日に合わせて請求書を作り、決まった宛先にメールで送るところまで自動にできます。
注意したいのは、契約の変更や解約が反映されないまま請求が出続けることです。解約したお客様に請求書が届くと、信用に関わります。
注意
定期請求を自動で送る場合でも、送る前に「今月の請求予定一覧」を人が一度見てから送る形をおすすめします。契約の変更や値上げの漏れに気づけるのは、この一覧を見たときです。
スポットの請求、つまり作業や納品のたびに金額が変わる請求は、見積や作業記録とつながっているかどうかで自動化のしやすさが変わります。見積から請求までを1つの仕組みで管理していれば、完了した案件から請求書の下書きを作れます。このあたりは見積書の作成を自動化する方法で詳しく書いています。
入金確認と消込がいちばん手間のかかるところ
請求作業の中で最も手間が残りやすいのは、入金を確かめて請求と突き合わせる「消込」です。完全な自動化は難しいものの、照合の候補を出すところまでは仕組みにできます。
たとえば、ネットバンキングの入金明細をダウンロードして、請求一覧と並べて1件ずつ見ていく作業。振込名義が「カ)ヤマダコウギョウ」のようにカタカナで、請求書の宛名と表記が違う。2か月分をまとめて振り込んでくる取引先がいる。
振込手数料が差し引かれて、請求額と数百円ずれている。こういう例外が混ざるので、人が考えながら照らし合わせることになります。
消込を楽にする工夫
- 振込名義を登録しておく取引先ごとに、実際に通帳に出てくる振込名義を登録します。2回目からは名義で自動的に候補が出ます。
- 金額と名義で候補を出す入金明細を取り込むと、金額と名義が一致する請求を候補として並べます。
- 一致したものは人が確定する候補が合っていれば確認して確定します。ここは1件ずつ見るより、ずっと速く進みます。
- 合わないものだけ調べるまとめ払いや手数料の差し引きなど、候補が出なかった入金だけを人が調べます。
- 未入金の一覧を出す期日を過ぎても入金がない請求を一覧にして、催促の要否を判断します。
こうすると、人が見るのは「合わなかったもの」だけ。全件を目で追う作業がなくなるので、月初の負担はかなり軽くなるはずです。
入金の確定と同時に、会計ソフトに渡す入金の記録も作れるようにしておくと、経理の入力がもう一段減ります。消込の結果を会計ソフトにもう一度打ち込んでいたら、そこにも転記が残っているということです。
銀行の明細を自動で取り込めるかどうかは、使っている銀行や会計ソフトによって違います。自動で取り込めなくても、ネットバンキングから明細をファイルで書き出せるなら、それを毎月読み込ませる形が組めます。対応状況は各銀行の案内で確認してください。
会計ソフトとの連携の考え方
会計ソフトに請求書の発行機能があるなら、まずはそれを使い切ることを考えます。足りない部分だけを別の仕組みで補い、会計ソフトに売上や入金のデータを渡す形が無理のない進め方です。
会計ソフトの請求機能でうまくいかないのは、だいたい「金額を集める」部分です。案件ごとの作業記録や納品の情報が会計ソフトの外にあるので、結局どこかで転記が起きます。その転記をなくすために、案件管理や見積の仕組みから会計ソフトへデータを渡す、という組み立てになります。
| 状況 | 考えられる組み立て |
|---|---|
| 定期請求が中心 | 会計ソフトの請求機能と定期設定で足りることが多い |
| 案件ごとに金額が変わる | 案件管理から請求データを作り、会計ソフトへ渡す |
| Excelで請求書を作っている | まず請求書の書式と請求先一覧を整理する |
| 入金確認に時間がかかる | 明細の取り込みと消込の候補出しを仕組みにする |
請求書の記載事項や、メールで送った請求書の保存のしかたには、税の制度に関わる決まりがあります。インボイス制度の記載事項や電子帳簿保存法の保存方法は、国税庁の公式サイトで確認し、自社に当てはまるかどうかは税理士さんに相談してください。仕組みを作る側も、その確認結果を前提に作ります。
請求書の送付と催促はどこまで任せられるか
請求書をPDFにしてメールで送る作業と、期日を過ぎた請求を知らせる作業は、仕組みに任せやすい部分です。ただし、催促の連絡そのものを自動で送るかどうかは、取引先との関係を見て決めたほうがいいと思います。
送付の自動化で地味に効くのは、宛先の間違いが減ることです。毎月、請求書のファイルを添付してメールを書き、宛先を選んで送る。これを手でやっていると、似た名前の取引先に別の会社の請求書を送ってしまう事故が起きます。
請求先の一覧から宛先とファイルが自動で組み合わされれば、この心配はほぼなくなります。
郵送を希望する取引先が残っている場合は、送る分だけ印刷用にまとめて出力し、封入は人が行う形が現実的です。全部をメールに切り替えるのは、取引先の都合もあるので急がなくてかまいません。
催促は「知らせる」と「送る」を分ける
期日を過ぎた請求を社内に知らせるのは、自動にして問題ありません。毎朝、未入金の一覧がメールやチャットで届けば、見落としは防げます。
取引先への催促メールまで自動で送るかは別の話です。長い付き合いの元請けに機械的な文面が届くと、関係がぎくしゃくすることがあります。
文面の下書きまでは自動で作り、送るかどうかと言い回しは人が決める。中小企業ではこのくらいがちょうどいいと感じます。
どこまで自動にして、どこを人が確認するか
請求書の作成と送付の準備は自動にして、送る前の最終確認と、合わなかった入金の判断は人が行う。この線引きがいちばん事故が少ないと考えています。
請求は取引先との信用に直結します。金額の間違った請求書が自動で送られる、二重に請求が届く、といった事故は、手作業のときより目立ちます。「全部自動で、人は何もしない」を目指すより、人が見る場面を少なく、はっきり決めるほうが安心です。
- 請求書の下書き作成は自動にする
- 送る前に今月の請求予定一覧を人が見て、送信ボタンを押す
- 入金の候補出しは自動にし、確定は人がする
- 候補が出なかった入金は人が調べる
- 未入金の一覧は自動で出し、催促するかどうかは人が決める
もう1つ決めておきたいのが、請求書を出したあとに金額を直すときの手順です。値引きや追加の作業で金額が変わったとき、元の請求書を書き換えるのか、取り消して出し直すのか。ここが人によってばらばらだと、仕組みの中に食い違った記録が残ります。
現場の感覚で言うと、1か月目は全件を目で確かめ、問題がなければ2か月目から確認の範囲を減らしていく、という慣らし方がうまくいきます。最初から信用しすぎないのがコツです。
LaughRallyの事例
事務員さんのいない外構工事の会社で、現場台帳を中心に見積・発注・請求を一元管理する仕組みを作りました。公式LINEとも連携していて、初期費用は78万円です。請求を案件ごとの書類の流れの中に置いた例です。
費用の目安と進め方
定期請求の自動送付や、入金明細と請求一覧の照合など、1つの作業に絞った自動化なら3万〜5万円、1〜2週間が目安です。見積から請求、入金までを案件ごとに管理する業務システムにする場合は50万円からで、期間は1〜3か月ほどです。
いきなり全部を作るより、まず定期請求や入金の照合など、毎月必ず発生して手順が決まっている作業を1つだけ自動にしてみるのがおすすめです。1か月使ってみて、本当に楽になったかを確かめてから次に広げます。開発中は途中で動く画面をお見せするので、経理を担当する方にも触ってもらいながら進められます。
どの作業から手を付けるか迷う場合は、60分・オンラインの無料の業務診断で、今の請求の流れを一緒に整理します。自動化できる作業を一覧にしてお渡しするだけで、売り込みはしません。
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